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サイエンス・デザイナーDr.KINOKOYAのAcademic Tips

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Essay | 天使は知っているのか?

 深夜のテレビも地方ではすぐに面白くなくなって、僕はCSに切り替えた。ヴィム・ベンダースのベルリン天使の唄をやっていて、後半1時間だけ見た。この映画は東京にいた学生時代見た数少ない映画の中の一つだ。確か当時の彼女に誘われて有楽町で見たんだっけか。当時も難解だと思ったが、今でもやっぱ難解だったけど、少しだけ成長した僕には、ちょっとだけ来るものがあった。この映画に行こうと誘った彼女も難解な過去を持つ女だったな。映画を見て泣いていて、どこで泣けるのかが判らなかった僕は、その理由を知りたいと思ったものだ。あの頃は俺も真剣だったなぁ。必死で彼女を理解しようとしていて、それが悉く空回りしていた。1987年の映画だから、大学2年の時かな。ちょうど付き合いはじめの頃だろうか。あれから17年か。

 この彼女とは自殺未遂騒ぎだのなんだので泥仕合を演じ、結局俺は消えるように東京を後にした。その後、噂で、結婚して離婚したと聞いた。今ごろどうしているのだろうか?少しは精神は安定したのかな。

 そういえば、こいつをアメリカがニコラス・ケイジ主演でリメイクしていたな。シティ・オブ・エンジェルス。これは福岡で見たな。1998年だな。アメリカがリメイクすると、わかりやすいラブストーリーになるもんだ。やっぱアメリカ人は単純だよ。メグライアンは可愛かったけど。これは当時知り合った中州のお姉ちゃんと見たな。ほのかに好きだったけど、結局付き合うことはなかった。そういえば、彼女も難解ではあった。

 知り合った当時、何故かお互いに気になったのか、何度か会って、悩みの相談に乗っていた。男に作らされた借金の話と、生んだばかりのその男の子供の認知の問題。結局、認知はせず、一人で育てると決意していたっけ。そういえば、数ヶ月前、中州から足を洗ったという手紙とともに、携帯電話が通じなくなっていた。あれから5年か。結婚でもしたかな。連絡が取れなくなったのは、ちょっと寂しいけど、ま、その程度の関係だったってことかな。いろいろ、真剣に話を聞いてあげたつもりだったんだけどね。ま、彼女の第二の人生が幸せになることを祈る。

 大学時代、美学という授業があって、そこで知り合った仲間とは未だに付き合いがある。その友達連中で学生時代同人誌を3冊だけだした。僕はつまらない駄文というかエッセイというかそんなものを書いたっけ。その後、僕は、東京を離れてきのこやになり、その中心人物は、インデペンデント・キュレーターってやつをやっている。もう一人は、当時から売れない現代音楽の打楽器奏者で、ある意味で才能のあふれた連中であったな。

 その打楽器奏者が、昨日、死んだ。

 43だと。早いね。ま、3・4年前からだっけか?ガンに冒されて入退院を繰り返していたので、いつかは、という思いがなかったわけではないが、やはり急だよ。

 最後に会ったのは、もう数年前だっけかなぁ?手術を終えたばかりで、おなかの傷を見せてもらったよ。確か、離婚したばっかりで引越しと入院が重なったんじゃなかったかな。嫌なことは重なるもんだね、とか話しながら、みんな貧乏だったので、吉祥寺のマックでコーヒーを飲みながら話をしたんだっけかな。その後再発して、下半身麻痺になり、去年から車椅子の生活になっていた。その姿を見ることはなかったけど。

 彼は哲学もよく勉強していたので、ていうか、現代音楽は哲学をしらないとできないらしいけど、非常に精緻な論理と、該博な知識をもちつつ、それでいて軽やかな人間だった。矛盾を許容しない、妥協のない性格だったけど、決して意固地で付き合いにくい人間ではなかった。

 その人となりは、今でも彼の残したHPの日記に残っている。

http://home9.highway.ne.jp/music/index1.htm

 今日、読んでいなかったぶんも含め改めて読み直してみた。

彼は、来世を信じていないようだが、人知の外にある、真実の音楽、客観的音楽の存在は信じていたようだ。そのさっぱりした割り切り方というか、強さを見て、なんか悲しむ気持ちが安っぽく見えてきた。強いなぁ、金田さん。きっと、今ごろ、死んじまったから終りだよ、とでも言っているのだろうか。

 俺には無理だなぁ、こんな強い生き方。だって、ほんとうに凡人だし、おれ。でも、己の芸術をここまで真剣に信じることができた彼は幸せだっただろうなぁと思う。俺は一体何を信じて生きているのかなぁ。何も思い浮かばない。何も信じていないんだろうなぁ。

 人間になった堕天使は映画の最後でこう言う。「男と女がいて、僕と彼女に包まれてひとつになるんだ(中略)、僕には戻る家がある(中略)。僕は、すべての天使が知らないことを知っている」。

 金田さんは、真実の音楽を知っていた。そして、ぼくはまだ羽のない天使のままなのかもしれない。いつか飛べるのだろうか?いつか知ることができるのだろうか?それにしては、歳をとりすぎたような気がする。人生は折り返している。

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