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Book | 風のように

ちゅーわけで出稼ぎから帰還。

SNAは高くはないが安くもなく、これが地方の限界か、などと思いつつ、しかも、羽田の搭乗口は第2ターミナルの51番と一番端っこ。んがしかし、捨てる神あれば拾う神あり。タバコ吸いというマイナーな被差別市民であるきのこやであるが、この51番搭乗口。すぐ上の3階になんと喫煙のできるコーヒーラウンジがある。これが、ゆったりとした雰囲気で、大人の憩い場のような風情。おまけに横には小さな本屋。大した品揃えではないが、人気の文庫ぐらいはある。

で、手にした一冊。

風の男 白洲次郎 (新潮文庫)

風の男 白洲次郎 (新潮文庫)

5年ぐらい前からテレビの特集を見たりして気にはなっていたのだけれど、ハードカバーに手を伸ばすほどの興味ではなかったのだが、めぼしい文庫がなかったので購入。

吉田茂を「あのじいさん」呼ばわりするあたりがなんともいいねぇ。

にしても、実は日本には、連綿として上流階級と呼ぶべき閨閥があるのだよなぁ。彼なんかその典型かもしれない。結婚祝いに乗用車だもんなぁ。いや、別に悪いとは思わない。機会の平等だのなんだのというが、生まれながらにして平等ではない世界は、徒に己の枠を超えた妄想を抱くよりは、「足るを知る」という点で居心地が良いかもしれない。問題は、ずば抜けて能力のある人間を掬い上げる風通しの良さがあるかどうかだ。

少なくとも、戦前~戦後あたりの日本の上流階級にあっては、そういう空気はあったような気がする。私が大好きだった故Iさんは、明治大学の学生から学徒出陣で引っ張られるまで、将来有望な学生だということで徳川一族のじいさんたちに可愛がられたそうな。木曜会だかなんだかの会を作ってもらって、そこでいろいろな人に薫陶を受けたそうな。別にIさんは、上流階級でもなかったので、持つ者が持たざるものを引き上げるというケースではなかったのかな。

ところで、白州次郎。

アメリカと戦争すれば絶対負けるし、いずれ東京が焦土になると確信して、戦争に突入するや否や、地方に疎開して食糧生産、要するに農作業に従事する。その判断力と行動力には感心する。んで、知人たちに食い物を配って歩き、焼け出された友人家族を引き取って食わせたのだそうな。

戦後は、その人脈から、GHQに入り、憲法草案なんかに係ったらしいのだが、そのへんはまだ読んでいないし、そんなことはどうでも良い。

何よりも、共感したのは、文言は忘れたが、「そのへんの百姓のじいさんの方が、なんぼかマシな哲学を持ってるよ」てなカンジの認識だ。虚飾や権威に惑わされないニュートラルな観察眼は、「持っている」者のみが見えるものではないかな。要するに、羨望や卑下などのコンプレックスから自由であるということだ。もちろん持っている者が、皆、こういう境地に立つかというと、実はそうでもないのだろうが、いやむしろ少ないからこそ、彼は歴史に名を残したのだろうが。

白州が野菜を友人宅に届けるとき、外で「どさっ」という音がして、慌てて家人が玄関に飛び出すと、もうそこにはいないそうな。こういうぶっきらぼうというか、ある種のシャイさ。好きだなぁ。

白州は、イギリス留学時代、イギリス人の友人と二人でフランスに自動車旅行に出かける。相当のスピード狂だったらしい。風を受けて走るその姿は、彼の人生そのものだったのかもしれない。

「水のように融通無碍に生きたい」と考えていたことがある。しかし、よくよく考えてみれば、水は低いところにしか流れない。しかし風は、軽やかに舞い上がる。しかも形は見えない。そこに「在るけれども無い」。ヒトは見ることはできないけれど、受けることはできる。太陽のように固定的で絶対的ではなく、おまけでありすき間である。しかし、一瞬、明らかにヒトの傍を通り過ぎる。

「通りすがりのきのこやです」というのが口癖である。それは、そういうスタンスで人と付き合いたいという心の現われである。してみると、私は、風になりたいのかもしれない。そういえば、てんびん座は、風の星座と言われることもあるね。

よし、これからは「風」をテーマに生きていこう。そういえば、後厄も明けたことだしね。

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